模倣犯
読書が好きな僕は、当然お気に入りの作家も何人かいるわけで、その人達の新作が出ると「早く文庫にならないかな」とわくわくしながら待っているんです。ええ、僕はハードカバーでは読まないんです。だって重たいし置くトコ無いし。
この映画は、僕が大好きな作家の中でも上位に存在する宮部みゆき作の同名小説が原作です。宮部みゆきの文庫は全て読んでいると自負している僕は、『クロスファイア』が映画化される時は既に原作を読んだ後(これは新書でしたが、ハードカバー程重くないので読みました)で良かったんですが、今回の『模倣犯』はまだ新しくてハードカバーしか出ていなかったのです。
別に映画を観る前に原作を読んでおく必要なんて無いのですが、大好きな作家による原作の映画化だけあって、読まずには観れまい!ということで公開2週間前から頑張って読破して映画に挑んだのでした。
原作を読み進むに当たって思ったことは「こんなモン絶対に映画化無理」ってことでした。原作で1300ページぐらいあるモノを2時間前後にまとめてしまうなんて無理だよ!文字だからこそ可能な心理描写が映画で出来るかよ!って思いました。読んでいて、犯人の憎らしさに読者がきりきりする様子も映画では無理でしょう。文字でしか伝えられない描写を映像にして、やっぱり伝えられなかった失敗例は『ホワイトアウト』が挙げられますね。
観た結果、どうでしょう・・・原作を読んでいない人が1回観て理解出来たんでしょうかね。多分何割かの人は理解できずに終わってしまったと思います。展開が速すぎるし、原作の主要なシーンを映像化しただけで内容がペラペラなんです。原作を読んだ人は「こういう映像になるのか」と感心したりするかも知れませんがね。
とりあえず、樋口めぐみの存在が丸々削除されていて、おかげで塚田真一君の存在意義が非常に薄くなってしまったのは許しがたいです。あと、クライマックスで「『クロスファイア』か?」と思いました。あれはいただけません。この映画、失格!でもこの映画が無かったら「模倣犯」と言う大変面白い小説を読む機会が与えられなかった訳で、まぁ良し・・・とはいきませんな。そんなレベルです。
2002年6月8日鑑賞